「精子提供による出産・⾮配偶者間⼈⼯授精AIDの歴史」精子提供という本を読んでみました。

2021-05-05

自分自身が精子提供を始めるにあたり少しでも知識を得て勉強したいとの思いから、「精⼦提供」(歌代幸⼦著2012-07)という本を読みました。精子提供がいつどこで始まりどのように行われたのかという歴史を紹介したいと思います。

世界最初の精子提供・出産の記録

精子提供による出産が世界で初めて行われたのはアメリカで1909年・アディソン・ハード氏による記録書であり、最古の物であるとされています。記録書によると1884年無精子症夫婦に対して精子提供が行われました。精子提供者は学生とのことです。その時の医師の配慮で精子提供を受けた夫婦の奥さんには伝えられることなく旦那さんにだけ精子提供による人工授精だと伝えたそうです。旦那さんは奥さんに精子提供が行われたことを伝えるのを拒否したそうです。無事、子供は生まれたものの自身は生涯、精子提供でうまれたという事実を知ることはなかったといいます。

日本最初の精子提供・出産の記録

精子提供による出産が日本で初めて行われたのは戦後間もない1949年(昭和24年)8月下旬、当時慶応大学医学部産科部長であった安藤画一医師(1885-1968)により行われ無事に女児が誕生しました。安藤氏は世界最高の産婦人科医にも選ばれ日本勲位も受賞した名医であるとされています。

戦後に精子提供による出産・AIDが必要とされたのには理由があり東南アジアから帰国した兵士のなかには現地でマラリアなど感染症にかかり高熱の影響により精子が作れなくなることが多くあったと言います。

日本では昔のほうが精子提供による出産が多い

現在よりも戦後などの昔のほうが精子提供による出産・非配偶者間人工授精(AID)が多く行われていました。この理由は簡単で体外受精が存在していないからでした。現在では人工授精で妊娠しない場合は体外受精へと進むことができますが戦後間もない当時は最終的な不妊治療は人工授精止まりでした。

日本で最初の精子提供の出産は1949年。日本で最初の体外受精が行われたのは1983年。体外受精が日本全国に広まり日本の生殖医療を司る日本産科婦人科学会が体外受精実施件数を集計し始めたのが1989年。日本では1949~1989年の約40年間は男性不妊の場合は体外受精は進むことはできず非配偶者間人工授精(AID)を選択するしかない状況でした。

しかし体外受精が一般的になった現在においても男性不妊の無精子症や遺伝性疾患の理由で1年間で約1314組の夫婦が精子提供による出産・非配偶者間人工授精(AID)の治療を受けています。そして1年間で約130人の子どもが生まれています。「⽇本産科婦⼈科学会1998-2009報告書による」

引用や参考にした図書データ:⽇本産科婦⼈科学会1998-2009報告書・「精⼦提供・歌代幸⼦著2012-07」