「精子提供について告知しない親」精子提供という本を読んでみました。

2021-05-28

前回に引き続き精子提供という本を読んでいます。精子提供を受ける人には提供を受けるまでにさまざまな想いや経緯があることがわかります。精子提供者は精子を提供する役目ですが、海外の精子バンクのようにオープンドナーであると将来子どもが大人になり精子提供者に会いたいという場合があります。この場合、精子提供者は提供を受けた人に連絡先を責任をもって長期間伝えなければなりません。子どもへの告知についての現状をまとめてお伝えします。

告知しない親

告知したくない親とご夫婦

日本で初めての精子提供による出産・非配偶者間人工授精(AID)をおこなった慶応大学の産婦人科、精子提供で子どもを出産したご夫婦に対して「子どもへの告知」に関するアンケート調査を2001年に行いました。その結果、旦那さんと奥さんともに「告知をするべきでない」という回答が70%を超えました。

なぜ告知しないのか

精子提供を受けたご夫婦のほとんどが告知しないという状況です。その理由として、「遺伝的な父親ではないことがわかると家族関係が悪くなる」・「告知しないことが親の義務である」・「家族を守る男性が本当の父親である」などがあった。将来子どもに精子提供による出産の事実を伝えようと思っているか?という問いでは旦那さん・奥さんともに80%以上が伝えないと答えている。

告知をするつもりのない旦那さん・父親が多くを占める

精子提供での出産で父親になった男性不妊患者さんへの調査では、「将来子どもに告知することを積極的考えている」と答えたのは146人でたったの1%であった。精子提供を受けて出産したご夫婦さんのうち、奥さんよりも旦那さんのほとんどが告知を考えていないことになる。1999年慶応大学産婦人科による調査。

告知しても精子提供者について知ることができない

精子提供で子どもを出産したご夫婦さんたちは子どもへの告知については考えていないことがわかりました。この事実だけを見るとご夫婦さんたちは冷たいんじゃないか、子どものことを考えているのか?という疑問があるかもしれません。しかし、現在の法律では日本の病院で精子提供・非配偶者間人工授AIDを受けた出産においては精子提供者について知ることができません。つまり子どもへ告知しても精子提供者についてなにも知ることができないし会うこともできない、それならば告知しないほうがいいという考えがご夫婦さんにはあるようです。

告知はしないが、出産には肯定的な旦那さん

このように精子提供で生まれた子どもに対して告知するべきでないという父親・旦那さんが多いことがわかる。では精子提供による出産に否定的なのではないかという考えもあるが、「二人目の子どもが欲しいか?」という問いに対しては80%を超える旦那さん・父親が賛成している。つまり父親・旦那さんは告知に対しては否定的だけれど、精子提供を受けることにたいしては賛成していることがわかる。

「精⼦提供~父親を知らない子どもたち~」歌代幸⼦著:https://www.amazon.co.jp/dp/4104388033/

引用や参考にした図書データ:⽇本産科婦⼈科学会1998-2009報告書・「精⼦提供・歌代幸⼦著2012-07」