精子提供者への「出自を知る権利」についての意識調査

2021-05-20

戦後より盛んにおこなわれたと言われる精子提供による出産・非配偶者間人工授精(AID)。精子提供で生まれた子どもが大人になり精子提供者・遺伝的父親に知りたいという権利、出自を知る権利が主張されています。これらの現状を顧みて慶応大学は今まで同大学病院で行われた精子提供者へ「出自を知る権利について」のアンケート調査をおこない日本産科婦人科学会雑誌58巻2号へ掲載しました。

精子提供者からのアンケート回答率は27%

1998年平成10年~2004年平成16年の間に実際に精子提供した提供者に対して郵送でアンケート調査書を送付した。120名に対して送付して32名の回答27%の回答を得ることができた。

生まれた子どもが「遺伝的父親について知りたい」という感情についてどう思うか?

精子提供で生まれた子どもが遺伝的な父親について知りたいという感情については「仕方ない」と67%の提供者が回答した。

生まれた子どもが会いに来る可能性があるとしたら精子提供しなかったか?

「あなたの提供により生まれた子どもが会いに来る可能性があるとしたら提供しなかったか?」という問いに対しては67%の提供者が「提供しなかった」と回答した。

「あなたの提供により生まれた子どもが会いに来る可能性があるとしたら提供しなかったか?」という問いに対しては30%の提供者が「それでも提供した」と回答した。

今後も精子提供は匿名がよいか?

全体の回答者の88%が「今後も提供は匿名のままが良い」と回答した。「提供により生まれた子どもが会いに来る可能性があっても提供した」と回答した提供者の80%が「匿名のままが良い」と回答した。

匿名でない場合は、ほとんどの提供者が精子提供しない

精子提供者の匿名性が変更されてしまうとほとんどの提供者が精子提供をしないという意思を示していることがわかる。今回はアンケート調査の回答がわずかなこともあるが、わずかながら匿名でなくても精子提供すると答えた回答者もいた。それでも80%近くの精子提供者が匿名が良いと答えている。

参考論文:P1-372 精子提供の匿名性に対する提供者の意識調査(Group 50 不妊・不育IV,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
https://ci.nii.ac.jp/naid/110005852502